手洗いに欠かせない石けんですが、医療現場では必ず液体石けんを使用しています。固形石けんを仲間で共有することはしません。固形石けんよりも液体石けんを推奨する理由を解説します。
手洗い場は菌が増殖しやすい
手洗い場やご家庭での洗面台などの水回りは、湿った場所を好む緑膿菌やセラチア菌が増殖しやすい場所です。固形石けんは水切れが悪いので、菌が増殖する可能性が高くなります。その石けんを複数の人で共有することで、交差感染(人や物を介して起こる感染)の原因になります。
手を石けんで洗い、清潔にするはずが、菌の増殖している石けんを使ってしまうと本末転倒です。石けんは清潔なものを使用することが常識です。
厚生労働省が発表している高齢者介護施設における感染対策マニュアルでは、「石けんを使用するときは、固形石けんではなく、必ず液体石けんを使用する」と記載されています。
液体石けんも注意が必要
液体石けんはボトルに入った状態で販売されていますね。新品のボトルで使用する時は大丈夫ですが、詰め替えの際に注意が必要です。水分の含んだままのボトルの使用や、液体石けんの継ぎ足しは菌の混入をすることになり、緑膿菌の繁殖の場を与えてしまいます。空になったボトルにそのまま液体石鹸を注ぎ込むのではなく、使用していたボトルは内部を洗浄して、乾燥させてから詰め替えをおこなうことが大切です。これは詰め替え用のシャンプーや洗顔料でも同じことが言えます。
液体石けんを詰め替える際のアイデア
私が医療現場でおこなっているアイデアをひとつ紹介します。詰め替え用の容器をひとつ余分に準備するだけです。液体石けんがなくなったら、その容器を洗って乾燥させます。乾燥させている間、ひとつ余分にある容器に液体石けんを補充し、使用します。こうして必ず乾燥している容器を準備するようにしておくと、すぐに清潔な容器に詰め替えることができます。とても簡単です。
清潔な石けんを使用しましょう
石けんと水は手指衛生に必ず必要です。感染予防に欠かせません。したがって、使用する石けんには注意が必要です。清潔な石けんを使用する習慣をつけてしっかりと手を洗いましょう。
歯科衛生士/第二種滅菌技士/第一種歯科感染管理者
長谷川雅代