手指衛生が十分にできているか、不十分かを自分で判断するのは難しいですよね。手指衛生には石けんと水での手洗い、アルコール製剤による手指消毒がありますが、「清潔になった」という判断は難しいです。手指衛生を評価する方法として、手に特殊な薬剤を塗布して手洗いをし、その後、ライトを当てると手洗いができていない箇所が光って可視化できるような装置もあります。
しかし、なかなかそのような装置を家庭に持ち込むのは難しいもの。そこで、誰にも簡単に自分の手指衛生のセルフチェックができる方法を紹介します。
身近にあるものでセルフチェック
準備するもの
使い捨て手袋(白・ニトリル製がおすすめ)
絵の具(青・赤・緑などハッキリした色がおすすめ)
タイマー
目的にあったセルフチェック方法
必要に応じてふたつの方法を使い分けてください。おこなう動作は同じです。
1. 注意する場所はどこ?
手指衛生をおこなっている際にどこを洗い残すか、(擦り残すか)のセルフチェックです。日頃の手洗いののウィークポイントが確認できます。
方法
グローブを装着し、絵の具を10円玉ぐらい手のひらに取ります。そして、「いつものように手を洗う」あるいは「アルコールを擦り込む」イメージで手を動かしてみてください。可能であれば、目を閉じると良いです。そして、「いつもと同じ」ぐらいでストップです。グローブに絵の具が広がっています。グローブ全体にしっかりと絵の具が広がっていればOK。白いグローブの素材が見えているところがあればその部分は手洗いやアルコールの擦り込みが不十分ということになります。
「医療の安全に関する研究会・安全教育分科会編」に掲載されているイラストに手指衛生で注意を要する場所がわかりやすく示されています。自分の手洗いの状態と比べていかがでしょうか。
残しやすい場所を把握しておくと手指衛生の向上につながります。
2. 時間は十分にかけているか
時間のかけかたを確認します。日頃の手指衛生にかける時間の確認をする際におすすめです。
方法
グローブを装着し、絵の具を10円玉ぐらい手のひらに取ります。そしてタイマーをスタートさせたら、絵の具をグローブ全体に広がるように擦り広げてください。絵の具が全体に広がるまでにかかる時間を測ります。「いつもと同じぐらい」の時間ではどれぐらいグローブに絵の具を広げられているのでしょうか。しっかりと全体に広げるにはCDCガイドラインでもWHOガイドラインでも15秒以上と記載されています。
「できている・できていない」がなかなか判断しにくい手指衛生です。このセルフチェック方法で手指衛生のウィークポイントを減らしましょう。
歯科衛生士/第2種滅菌技士/第1種歯科感染管理者
長谷川雅代