医療現場で手洗いはとても重要視されていて、感染対策の要としています。感染対策のポイントは菌やウイルスを「広げない、持ち込まない、持ち出さない」ことです。手を介しての感染が決して起こらないように、医療現場では手洗いや手指消毒をすることが徹底されています。感染対策での考え方は医療現場でも家庭内でも全て同じです。手は無意識であらゆる場所に触れ、その手で自分自身に触れます。感染症の発症は手を介しての感染がいちばん多いです。感染を予防するためにも大切な基本の手洗いをマスターしましょう。
基本は石けんと水での手洗い
手を清潔にする方法に手指用のアルコールを使用して手指の消毒を行う方法がありますが、手を清潔にする基本は石けんと水での手洗いです。理由は手指用のアルコール消毒剤を使うためには「手に見える汚れがないことが前提」です。汚れがある場合はまず、石けんと水での手洗いが必須です。その点、石けんと水での手洗いは汚れを落とし、手に付着した菌やウイルスも洗い流してくれますので、手を清潔にする万能な方法です。
石けんの選びかた
基本の手洗いに石けんは欠かせません。泡立てて使用することで洗浄効果が高くなりますので、使用する石けんはポンプを押すとフォーム状で出てくるものが便利です。泡立てる手間が減ります。泡立ててある石けんは、汚れを浮かび上がらせて皮膚を擦りすぎずに汚れを落とす効果があります。よく泡立てると泡は皮膚のしわなどの細かいところまで行き渡り、泡の体積の増加で少ない量の石けんで広い面積を洗うことができます。さらに泡立てて使用すると、すすぎがしやすく、石けん成分の皮膚への残りが少なくなります。
石けんは抗菌でも非抗菌でもどちらでも良いです。抗菌石けんは薬剤が添加されている分、手荒れの心配もありますので、肌に優しい保湿成分の配合された石けんを選ぶほうが良いです。洗浄効果に大差はありません。
手洗いのポイントを覚えましょう
自分の手洗いをするところを思い出してみましょう。手のひらは一生懸命に洗う人が多いと思いますが、指の先や指と指のあいだ、親指の周りや手首は洗い残しが多いところです。さらに「利き手」は洗い残しが多くなる傾向にあります。手洗いのポイントは「残りやすいところを把握しておくこと」です。少し意識すればグンと手洗いが上手になります。
手はぺーパータオルで拭きましょう
洗った手はペーパータオルで拭きます。布タオルの共用は菌の温床になりかねますので、使用しません。(布タオルを使用する場合は一人一枚で一度の手洗いごとに使い切りであれば良いです。)強く擦らずに、ペーパーを肌に押し当てるように水分をとっていきます。手を拭いたペーパーを使用して水道の蛇口を閉めるようにします。
動画で確認をしてみましょう。手洗いの手順やポイントを覚えてしまうと簡単です。
歯科衛生士/第2種滅菌技士/第1種歯科感染管理者
長谷川雅代