個人防護具であるグローブは、患者ごとに交換はもちろん、一人の患者に対しても時には複数枚使用することもあります。しかし、コストを考えると無駄を減らしたい。そんなグローブの使用について考えをまとめます。
グローブの種類と特徴
ニトリルグローブ
合成ゴムで耐久性が高く、アレルギーが出にくいことが特徴です。耐薬品性にも優れています。
ラテックスグローブ
天然ゴムで伸縮性や柔軟性が高く、フィット感があります。アレルギーが出ることがあり、術者、患者ともに注意が必要です。精密な作業やグリップ力が必要な場面に向いています。
プラスチックグローブ
塩化ビニルグローブとも呼ばれます。薄手で、ニトリルやラテックスに比べると安価ですが強度が弱く、使用感は個人差が大きいようです。
ニトリルとラテックスの価格は、製品によって価格帯に幅があり、どちらが安価かは一概には言えません。何か動作をした後の破れや裂けの確率(リーク率)も参考にしてください。これを踏まえて、どんな場面でどんなグローブを着用すればいいか考えます。
グローブの選択
ニトリルとラテックスは、商品も多く、各社工夫された特徴により価格帯も広いです。アレルギーの有無だけではなく使用感も大きな要因になるので好みも分かれるところです。
上記の特徴からも、患者の口腔内で処置をする時はニトリルかラテックスの二択になりそうです。
例えば、切削器具を用いての治療、外科処置、PMTC、口腔内の検査など、使用感が重要視される場面ではニトリルかラテックスが好まれると考えます。
口腔内以外での業務も多様です。例えば、義歯の洗浄、ユニット消毒、石膏を注ぐ、デンタル撮影のセッティング、スピットンの清掃など、患者の口腔内を直接触らなくても、体液が付着したものに触れる時はグローブを着用します。また、薬液を作る時は、薬剤が皮膚に付かないようにグローブを着用します。これらの業務はどのグローブを選択しますか?
コストの削減ではなく、コストの最適化
ディスポーザブルのものを購入するとき、一つあたりの単価を計算することは大事です。
コストは削減したい。と多数の人が考えますが、その言葉に窮屈さを覚える人もいます。グローブは個人の使用感、アレルギーの有無もあり、高い安いだけでは決められないところです。であれば、使用場面によって使い分けます。精密さを求めない業務はプラスチックグローブを選択する。という選択肢を増やします。
例えば、グローブ1組14円(100枚入り700円/ひと箱)のものをPMTCに使用して、同じ価格のグローブでユニット消毒をしたら一人の患者にグローブを28円分費やしますが、ユニット消毒には100枚入り400円のプラスチックグローブを使うことにしたら、1組8円。合わせて22円なので6円のコスト削減。一日に8人PMTCしたら48円、一か月20日間勤務したら個人で960円のコストを削減できたことになるのです。
コストを下げる工夫や使用製品の見直しをすることで、他にコストをかけることができます。例えば除菌力の高いワイプスへ変更する、指導に使用する歯ブラシをディスポーザブルにするなどです。自分たちが望む職場環境に変えることを目標に、コスト削減という窮屈に感じる言葉も前向きになれるでしょう。コストをかけるべきところと、減らせるところのバランスを考えて最適化しましょう。
自治体や業者によって、グローブは廃棄にもお金がかかる事があります。グローブをしないで行う業務についても整理しておくと、使用グローブの枚数そのものが減らせます。例えば、滅菌が完了している滅菌バッグは、手指消毒した素手で所定の場所に戻します。
グローブの使用については、グローブの種類の選択に加えて、グローブの着用場面の確認もあわせて行いましょう。そうすることで、コストの削減はもちろん、スタッフが行う使用済みグローブ回収の労力が減らせます。更に、手指衛生のタイミングの確認にもなります。
実践ケース紹介
参考までに私の実践しているケースを紹介します。もちろん、業務の流れがあるので、下記の表の通りにわざわざ着け替える事はしません。歯科衛生士として、私個人が完結できる業務内容(メンテナンス、プロビジョナル作成、セメントアウトなど)であれば、先ずは業務のルーティンを考えます。限られたチェアタイムで効率的な処置をする為には確実な準備をする事です。確実な準備は時間効率だけでなく、無駄なグローブの着脱を減らせると考えています。
グローブは歯科診療に欠かせない個人防護具のひとつです。無駄のない使い方を考えてみましょう。