滅菌バッグに入った器材を滅菌器に入れて滅菌をします。滅菌バッグに入れて滅菌するのは器具の“無菌性の保持”が理由です。無菌性の保持とは簡単にいうと「使用する直前まで微生物に汚染することなく、保管できていること」です。適切に器具を保管するためにも保管状態を確認してみましょう。
滅菌器から取り出した器具
滅菌が終了し、圧力が低下するとドアを開けることができます。ドアを開けて滅菌された器具を確認してみましょう。滅菌バッグが湿り気なく、乾燥している状態が正しい状態です。滅菌バッグに水滴がついていたり、濡れている状態では乾燥できていません。滅菌器から取り出した器具を確認してみましょう。
乾燥ができていない3つの理由
もし、滅菌器から取り出した器具、滅菌バッグに入った器具が乾燥できていなければ、早急に対応をしましょう。滅菌器から取り出してしっかりと乾燥ができている状態を目指します。
①器材を詰め込みすぎている
器材の詰め込みすぎにより、乾燥工程がしっかりとできていない場合があります。一度にすべての器材を滅菌器に入れてしまうと乾燥工程だけでなく詰め込みすぎになり、滅菌剤の蒸気も器材に届かなくなる可能性があります。よって、器材を滅菌器に入れるのはチャンパー(滅菌器の中の丸い缶)の7割程度を意識するようにしましょう。
②乾燥時間が短い
重力置換方式の滅菌器の場合は、滅菌時間の切り替えができるのと同じように乾燥時間の設定をするところがあります。この設定時間が明らかに短い場合は乾燥が不十分になってしまうことがあります。乾燥時間の設定が正しいかどうかをお使いの滅菌器の取り扱い説明書で確認をしましょう。
③積載方法が良くない
①の器材の詰め込みと似ているのですが、こちらは器材の量ではなく、配置の問題です。特に滅菌バッグに入ったものを滅菌する場合には蒸気の通り道ができるように器材をトレーニ並べて滅菌することをお勧めします。滅菌バッグが重なっていることにより、乾燥を妨げていることが起こっている場合があります。
滅菌バッグの湿りを乾燥させること
医院にお伺いした際によく見かけるのが、滅菌器後の器材が濡れているのでタオルを広げ、乾燥させている光景です。濡れたままの器材を収納することは避けたいので乾燥させる努力と理解はできますが、そもそもその工程がいかにも正しいかのような流れ作業になっていることが問題です。なぜ、乾燥ができてないことが起こっているのかの原因を調べてみましょう。
滅菌バッグの使用を見極める
今回の乾燥不良は滅菌バッグに入った器材を重力置換方式の滅菌器で処理した際に起こりやすい事例です。重力置換方式はなるべく滅菌バッグを使用しないで滅菌をしたほうが蒸気の行き渡りや乾燥状態も良いです。しかし、保管のことを考慮すると滅菌バッグに入れて滅菌をせざるを得ない場合もあります。そこで考慮したいのが、滅菌バッグに入れる器材の厳選です。非包装滅菌で良い器具は非包装で滅菌する。そうすることにより、滅菌器の中は蒸気も届きやすく、乾燥もしやすくなるので、滅菌終了後の器具の乾燥に役立ち、滅菌バッグの経費も節約できます。