使用直前まで無菌状態にしておく必要のある器具は滅菌の際に滅菌バッグを使用します。そして、滅菌後保管します。滅菌バッグを正しく使用できるように使用方法を確認しておきましょう。
滅菌バッグは使い切り
滅菌バッグは複数回使用できません。単回使用(シングルユース)です。滅菌バッグにはフィルム面と紙(フィルター)面があり、滅菌剤(高圧蒸気滅菌の場合は蒸気)が紙面から中に入り器具を蒸気で包み込むことで微生物を殺滅する仕組みです。単回使用の理由は一度滅菌工程を通過するとフィルターが閉じるように製品化されているので、再使用した場合は滅菌バッグ内の空気除去や蒸気の浸透性が阻害される危険性があります。さらに新品と比べて破れやすくなります。
滅菌バッグには滅菌工程を通過したかを示すインジケーターがついています。滅菌前と滅菌後で色が変わるようになっていますのでそれらで確認することができます。なお、このインジケーターは中の器具が滅菌されているかの指標ではなく、こちらのインジケーターはプロセスインジケーターで、“滅菌工程を通過したか否か”を、つまりは滅菌バッグが使用されたかどうかを知ることができます。
器具の入れかた
滅菌バッグに器具を入れる場合は開いた際に基本として開く側に使用者の持ち手側が来るように入れます。理由は患者に使用する側に触れずに取り出すことができるようにです。 滅菌バッグには開封方向を示すマークがありますのでそのマークを参考にどちらが開封側かを知ることができます。
滅菌剤が器具によく浸透するようにハサミ類は閉じずに接合部(ヒンジ)を開いて滅菌バッグに入れるようにします。
ゆとりのある包装をする
滅菌バッグに器具を入れる場合、詰めすぎないようにすることが大切です。内部表面積の70%を基本に選択します。具体的には器具を入れた際に器具の周囲にゆとりができるような包装状態です。また、器具の形状や重さにも配慮します。
ゆとりがない包装になってしまうと滅菌バッグに傷がつき、包装破損の原因になります。滅菌バッグはフィルム面のほうが丈夫です。滅菌剤が浸透する紙面に比べてフィルム面は丈夫なので、器材の先端が曲がっている場合は、先端をフィルム面に向けるようにします。器具の先端にシリコンキャップを装着し、保護をする方法もあります。
シール圧着部の外側は、開封のためのゆとりも持たせましょう。シールの位置は、指で開きやすいように、シール部より外側に2cmほどのゆとりを持たせます。
滅菌バッグは余裕をもって包装することが大切です。器具の大きさはさまざまなので、数種類の大きさの滅菌バッグを準備する必要があります。スタッフ同士で迷いがないように、「この器具にはこの滅菌バッグを使用する」と統一しておくと包装作業に一貫性ができます。
また、滅菌バッグは器具の“無菌性の保持”をすることが目的です。“滅菌器に入れるために使用するものではない”ことを念頭に、滅菌バッグを使用して滅菌をした方が良い器具か、滅菌バッグは不要の器具なのかを見極めることが大切です。